本『IN』
IN 桐野夏生
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/05/18
- メディア: 文庫
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内容 「BOOK」データベースより
作家の鈴木タマキは、恋愛における抹殺をテーマに『淫』という小説を書こうとしていた。主人公は、妻と愛人との修羅の日々を描いた緑川未来男の私小説『無垢人』の愛人、○子である。○子は果たして実在の人物なのか、創作なのか。取材を進めるうちに、タマキは自身のかつての恋愛の狂乱を重ね合わせていく。小説の虚構が現実となり、そして現実を越えていく。人間の内側を深く抉る傑作長編。
初の桐野夏生さんの作品。
読後感がスッキリしない作品は嫌いではないが、恋愛における抹殺がテーマであるため、少し疲れました。
恋愛って、勿論キラキラした部分だけではありませんが、不倫となるとキラキラとドロドロの差が大き過ぎて、人の辛い気持ちや憎しみや傷跡がはっきり言葉にされると、疑似体験したようで、こちらも辛くなってきます。
恋愛を抹殺する事で、人は前に進めるのでしょうか?
モヤモヤした思考が言語化されるとスッキリするものですが、この作品は言語化された事で、自分の記憶に相手を永遠に許さないという心情が植え付けられ、苦しくなりました。
ただ、この苦しみも久しぶりに味合う感情ではありました。
今月は、もう1冊恋愛をテーマにした小説が読んでみたくなりました。